はてなブックマーク - おじいちゃんはいつから「わし」になるのか

 ブックマークコメントがひどい……と思ったが、それはマニアの思い上がりであった。

はだしのゲンは子供の頃から「わし」だよな。全てのおじいちゃんは一度広島に住むんだろう

yetchのコメント 2017/05/20 00:10

日本人の広島県民化

pseudomemeのコメント 2017/05/20 00:44

うちの90歳の祖父の一人称は「わし」。山口県です。広島の影響があるのか、それとも大正生まれはそうなのか?

parthurのコメント 2017/05/20 08:45

あれ?つまり近年のどこかで広島地方の方言を話すお爺さんが有名になり、お爺さん役割語のデファクトスタンダードになったってことなのか。

Iridiumのコメント 2017/05/20 09:04

 「わし」という自称が使われるのは広島県だけではない。「わし」の使用地域は、東北から九州まで、日本各地に分布している[1]

女言葉と同じでその人の属性をわかりやすくするためのフィクションだと思うんだけど、発明したの誰なんだろう

kori3110のコメント 2017/05/20 09:53

 間違いなく、そのような人はいない。

 江戸時代の前期には、江戸の町人の間には共通語と呼べるものがなく、江戸の町は方言雑居の状態だった。一方、上方語は王城の地の言葉であり、高い威信を持っていた。だが、18世紀後半になると、江戸の町人の間に東日本型の共通語が形成され、その後、次第に上層へと浸透していった。この時期に生じたのが、「地位や年齢が高い人ほど昔から権威のあった上方語を用い、逆に地位や年齢が低い人ほど新しい共通語である江戸語を用いる」という状況であった[2]
 また、<女言葉>は、明治時代に誕生した言葉づかいで、当初は主に女学生に使われていたものである。だが、明治の末には女学校出身者以外にも使われるようになり、<女学生言葉>から一般的な<女言葉>へと変わっていった[2]
 つまり、<老人語>や<女言葉>というのは、過去の社会で自然発生的に現れたものなのだ。具体的な誰かが発明したものではないのだ。作家は、現実に存在した言葉使いを流用し、誇張し、戯画化しただけなのだ。

 何にでも特定の元ネタがあると思うのは、大きな間違いである。

うちのばあちゃんはおれが小さいころから一人称が「おれ」なのだがいつからそう言ってるのかは確かに気になる

vlxst1224のコメント 2017/05/20 19:10

 多分子供の頃から。

滑舌が悪くなってわたしがわしに聞こえるようになり、だがじゃみたいなおとになる。つまり入れ歯をするようになった現代ではそんなじじいは絶滅した

ikazoikeのコメント 2017/05/21 00:53

 つまり、年を取って滑舌が悪くなると、「段々」を「じゃんじゃん」と言うようになるということだ。だが、そんな老人は現実でも虚構でも見たことがない。
 なお、「わし」が「わたし」の崩れた形というのは本当だが、それは年を取って滑舌が悪くなったこととは関係ない。そう言い切れるのは、そもそも、「わし」は元は<老人語>ではなかったからである。

日系ブラジル人のお爺さんが「わし」「~じゃ」「~でな」とか日本昔話的なしゃべり方してるの聞いた事あるわ。海の向こうで昔の言葉がそのまま保存されてたっぽい。群馬の山の方の人達に江戸弁が残ってるのと同じ。

hilda_iのコメント 2017/05/20 14:58

 ブラジルに移民した日本人は、西日本出身者が多かった。そのため、ブラジルの日本語は、西日本方言の影響を強く受けている[3]。つまり、hilda_i氏が聞いた言葉は西日本的なのであって、別に昔の言葉ではないのだ。
 そもそも、「日本昔話的」な言葉は本当の「昔の言葉」ではない。昔の田舎のような雰囲気を出すための役割語だ。実際の昔の言葉は、決して「日本昔話的」ではないのだ。例えば、明治時代や大正時代の口語文を見ても、昔話のような言葉づかいだと感じることはない。

現代書き言葉が成った時代の物書きにとって偉そうなジジイといえば長州閥だったという歴史背景が失われて、発達に伴って口調が変遷するフィクションが生まれた

outer-insideのコメント 2017/05/21 17:59

山口県で少年時代を送った。小学校の頃から、周囲の一人称は「ワシ」。己は標準語で、虐めの一因になったなw 明治維新で長州勢が中央で台頭したのが、爺 #言葉 に「ワシ」「じゃ」が定着した理由とか、聞いた様な。

popoiのコメント 2017/05/21 19:02

 <老人語>の由来を薩長出身の維新の元勲に求める説は、ネット上では結構広まっているようで、ウィキペディアを始め、いくつかのサイトで見ることができる[4] [5]。だが、本となると、「越後・佐渡方言散策」(野口幸雄 新潟日報事業社)でしか見たことがない。この本にそこまで影響力があるとは思えないから、おそらくは、どこからともなく自然発生した説だろう。要は都市伝説だ。

ちょっと論点ずれるかも知れないが、「わし」など役割語については専論がある。金水 敏『ヴァーチャル日本語 役割語の謎』(岩波書店、2003)など。意外に歴史が深くて面白いのじゃ。

n_kaseiのコメント 2017/05/20 09:02

先行研究は『ヴァーチャル日本語 役割語の謎』金水敏

kamayanのコメント 2017/05/21 12:55

 この本は役割語についての基礎的文献であり、専門の研究では必ず引用されるものでもある[6]。そして、この本の第1章はまさに<老人語>の成立と定着について述べたものだ。これを読まずして<老人語>は語れない。

70超えたらたいていの男性は自称にワシを使ってるイメージ。

mur2のコメント 2017/05/20 08:02

 それで、実際に70を超えたら「わし」を使うようになった人はどこにいる?

一人称「わし」の老人に会ったことがないんだが。みんな「私」「俺」「僕」のどれかで

IkaMaruのコメント 2017/05/20 00:20

私の身近な人々を観察する限り、実際には90歳を過ぎても一人称は変わらない。/「わし」「~じゃ」は江戸時代に成立した「役割語」で、半ばフィクション。実際の中国人が「~するあるよ」と話さないのと同じ。

deztecjpのコメント 2017/05/20 03:21

マジレスするとワシなんていう老人いないからな。方言以外で。ボランティアでもなんでもいいからリアル老人と交流しようぜ。

junglejungleのコメント 2017/05/20 08:21

リアルでワシって言ってる人なかなかいないよね

koogawaのコメント 2017/05/20 09:32

漫画やフィクションで年齢を分かりやすくする記号でしょ。実際に「わし」なんていう高齢者は見たことない

bigburnのコメント 2017/05/20 12:15

リアルで聞いたことない。

alpi-coのコメント 2017/05/20 16:26

確かに!でも実際に「わし」「~じゃよ」とか言ってるおじいちゃん見たことない説…

t_minaのコメント 2017/05/20 17:12

漫画の世界にしか存在しない

jintrickのコメント 2017/05/23 07:14

 言うまでもなく、年を取ったからといって急に<老人語>を使い出す人などいない。年を取ると<老人語>を使い出すというのは、あくまで作り話の中の現象なのである。年を取ると<老人語>を使うようになると思っている人は、現実と作り話が区別できていないだけなのである。

 さて、ブックマークコメントを見ていると、先日話題にした2ちゃんねるの「じじぃ語を使い始める時期」のレスと同じようなものが多いことに気づく。
 「じじぃ語を使い始める時期」は15年前のスレッド。この15年で、役割語に関する研究は大きく発展した。そして、現在では、「役割語」という概念や<老人語>成立の経緯はよく知られたものとなった。だから、もはやかつてのような頓珍漢な議論がおこなわれることもない……というのは、結局、マニアの思い上がりであったのだ。世間の常識は15年前から大して変わっていないのだ。大抵の人は、今でも「役割語」についてろくに知らないのだ。


[1] 「現代日本語方言大辞典 第6巻」 明治書院
[2] 「ヴァーチャル日本語 役割語の謎」 金水敏 岩波書店
[3] 「旅するニホンゴ」 渋谷勝己、簡月真 岩波書店
[4] じじぃ語を使い始める時期
[5] <老人語>
[6] 翻訳とキャラクターと言葉と役割語