【YOU】年上の人に使える二人称は?【あなた】 (言語学板

1 : 名無し象は鼻がウナギだ![sage] 投稿日:03/05/05 06:33
日本語では、年上の人に向かって「あなた」とは言えません。
何か適切な言葉はありますか?
 現代日本語では、目上の相手に対称詞を使うことは失礼にあたる。「貴様」も「お前」も「あなた」も、当初は高い敬意を持つ語であったが、今となっては目上の相手には使えない語となっている。
 対称詞は相手を直接指し示す言葉なので、相手を指さすのと同じような失礼さが生じうるのだ。また、日本語では主語の明示は義務的ではない。そのため、対称詞の「相手を強く指し示す」作用は、主語の明示が必須の言語よりはるかに大きいものとなる[1] [2]

 具体的な例を挙げてみよう。

(1) どちらにお住まいですか。

(1)' あなたはどちらにお住まいですか。

 (1)はごく普通の疑問文だが、(1)'は違和感のある表現だ。少なくとも、面と向かって言われて気持ちのよい言葉ではない。本来不要な対称詞を使用したことによって、不自然さやくどさが生まれ、対称詞の持つ「相手を直接指し示す」という性質によって、相手の縄張りに無遠慮に立ち入るようななれなれしさや失礼さが発生したのである。

 一方、英語などでは対称詞の使用が必須なので、失礼さは生じない。例えば、(1)の台詞は、英語では(1)''のようになる。

(1)'' Where do you live?

 ごく普通の疑問文だ。言われて不快になることはない。

 ただし、英語であっても、二人称の「相手を直接指し示す」強さが全くないわけではない。だから、例えば王と話す時は、相手をYour Majesty(陛下)と三人称で間接的に表現して礼を示している。

6 : 名無し象は鼻がウナギだ![] 投稿日:03/05/05 11:41
だいたい、「あなた」というのは、歳に関係なく、普通は使わない。使うとしたら警察官が尋問するとき、
または、相手に抗議するときか、妻が夫にいうとき。相手を呼ぶのが何でこんなに難しいんだ、日本語は?
異常だよ。

 「妻が夫を『あなた』と呼ぶ」などというのは、創作物で使われる役割語に限った話だろう。少なくとも、現実世界で夫を「あなた」と呼んでいる妻など見たことがない。

16 : 名無し象は鼻がウナギだ![sage] 投稿日:03/05/06 22:16
名前を知らない場合は「そちらさん」と言っているが
多分的確ではないのだろう。


50 : 名無し象は鼻がウナギだ![sage] 投稿日:03/06/21 14:41
そちら、そちら様


55 : 名無し象は鼻がウナギだ![sage] 投稿日:03/06/25 13:55
相手の肩書を知っていれば肩書で。
知らなければ「そちら」かなあ…

 「そちら」は、「あなた」よりも広い範囲を指すため、指示対象をぼかすことができる。すなわち、直接指し示すことなく、やんわりと相手のことを言い表すことができる。そのため、親しくない相手に対しては、「あなた」よりも丁寧な表現となりうるのである[3]
 一方、「そちら」は「こちら」との対峙を伴うものなので、親しい相手に使うと、相手を拒絶するような含みが生じることとなる[3]

22 : 名無し象は鼻がウナギだ![sage] 投稿日:03/05/07 11:10
英語では、一般に
you→あなた
と訳す。

またスペイン語では、一般に
tu→君
usted→あなた
と訳す。

一応、こうするのが一般的なんだけど、なんか違和感が・・・


23 : 名無し象は鼻がウナギだ![sage] 投稿日:03/05/07 12:40
>>22
「usted」は、文法的には三人称でないですか?
でも、「あなた」というふうに使える・・・。

 スペイン語のustedは、vuestra merced (your mercy)の短縮形であり、元々は相手を間接的に表現するものであった。そのため、対応する動詞も三人称になるのである。

25 : 名無し象は鼻がウナギだ![sage] 投稿日:03/05/07 21:35
国立国語研究所よ、YOUに相当する無難な二人称も考えてくれ。

 考えたところで、すぐに無難でなくなるのは必至だ。

46 : 名無し象は鼻がウナギだ![] 投稿日:03/06/21 00:31
>>25
そのYOUに対する二人称が、「あなた」だったんじゃないの?

ただ、日本語の性質として、
述部や助詞なんかで称がほとんど確定できてしまうから
日常の言語生活を営む上で使う機会がほぼないだけで。


236 : 名無し象は鼻がウナギだ![] 投稿日:2008/02/12(火) 16:10:10 0
「全く見知らぬ目上の人」に対して使える二人称がない、というのは、日本語の歴史上では
そんなに当然のことではない。今「あなた」を使えないような相手に対しても
使える二人称がある時代だって普通にあった。

ただ、日本語の人称代名詞は印欧語族のように安定したものではなく、
普通名詞や指示代名詞からの転用が多く、また100年単位でどんどん敬意を失っていってしまう。

「全く見知らぬ目上の人」にも使える二人称というのは最高級の敬意を持った二人称だが、
「最高級の敬意を持った二人称」というのは不安定で、100年も使っていれば敬意が薄れ、
最高級の敬意を払わなければならない相手に対しては失礼に感じられるようになってくる。
「貴様」「お前」「そなた」「あなた」なども、価値がどんどん下落していった。
それに伴い最高級の敬意を表す二人称が失われると、
また新しい二人称が登場するということが繰り返されてきた。

「お前」や「あなた」が最高級の敬意を失うと、「お前様」「あなた様」などというように
さらに敬意を表す語を付け加えて、なんとか最高級の敬意に引き上げようとすることも行われた。
「お前」は江戸時代に価値が下落していったが、「あなた」が最高級の敬意から下落したのは
明治あたりからではないだろうか。そのあたりから、最高級の敬意を表す二人称がなくなった。
やがてまた最高級の敬意を表す二人称が登場するかもしれないが、今はまだ登場していない。
今は、最高級の敬意を表す二人称がない100年ほどの空白期間なのだろう。
そのうちまた最高級の敬意を表す二人称が現れ、便利だとして多用され、
100年もすれば陳腐化して最高級の敬意を表すべき相手には失礼だとされるようになるのだろう。

 「あなた」という対称詞は、昭和初期までは比較的高い敬意を有する語であった[4]。1952年に国語審議会で議決された「これからの敬語」でも、「あなた」は標準的な対称詞とされていた。だが、今となってはそうでないことは、ご存知の通りである。
 結局、対称詞の使用が義務的ではない現代日本語では、どんな対称詞であっても、「相手を強く指し示す」失礼さからは逃れられないのである。

248 : 名無し象は鼻がウナギだ![] 投稿日:2009/06/27(土) 16:56:39 0
>>25 国立国語研究所よ、YOUに相当する無難な二人称も考えてくれ。

・・・数十年前に「ナレ」というのを作っていたな。ワレ、ナレ、カレ、ワレラ、ナレラ、カレラ

 「数十年前」などではない。「なれ」は日本書紀や万葉集でも使われているれっきとした古語だ。

58 : 名無し象は鼻がウナギだ![] 投稿日:03/06/28 00:02
中国では先生っていってますよね?


59 : 名無し象は鼻がウナギだ![] 投稿日:03/06/28 00:03
中国では先生っていうんでしたっけ?

 中国語の「先生」は男性に対する敬称、あるいは尊称である。呼びかけには使えるが、対称詞にはならない。例えば、(2)では「先生」と呼びかけた後、あらためて「」を主語にした疑問文を発している。

(2)土方先生是第一次坐军舰吗? (A: p.255)

土方さんは、軍艦ははじめてでしょう (B: p.406)

(下線は引用者によるもの)

 中国語の対称詞は、あくまで「」か「」なのだ。

63 : 名無し象は鼻がウナギだ![sage] 投稿日:03/06/28 16:51
>>58-59
男性への敬称ね。教師の意味はない。
女性へは、女士、かなあ。未婚既婚の区別あったり。
大娘(おばさんの意味。でも蔑称ではないらしい。)なんてなんかやだけどね。

 男性に対しては「先生」、女性に対しては「女士」、若い女性に対しては「小姐」という尊称が用いられる[5]

66 : 名無し象は鼻がウナギだ![] 投稿日:03/07/12 11:27
>>63
先生の意味で使うときは、先生様だっけ?

 中国語の「様」は「様子」という意味であって、敬称ではない。

67 : 名無し象は鼻がウナギだ![sage] 投稿日:03/07/12 12:06
>>63
>教師の意味はない。
昔はあったよ。

>>66
それなら「老師」

 大抵の辞書には、「先生」には教師の意味もあると書かれている。
 ただし、「日中同形異義語1500」(国際語学社 2011年)、「プログレッシブ中国語辞典」(小学館 1998年)では、中国語で「先生」を教師の意味で使うのは古い用法と書かれている。また、「東方中国語辞典」(東方書店 2004年)には、古い用法とは書かれていないが、「普通は“老師”という」という注意書きがある。
 一方、「中日大辞典 第三版」(大修館書店 2010年)、「講談社中日辞典 第三版」(講談社 2010年)、「実用中日日中辞典」(隆美出版 2003年)、「デイリーコンサイス中日・日中辞典」(三省堂 1999年)には何の注意書きもなく、また、古い用法とも書かれていない。

112 : 名無し象は鼻がウナギだ![] 投稿日:04/05/04 08:59
>>8
フランス語やドイツ語では現在でも区別が残っているが、
英語でもかつては二人称単数 thy、二人称複数 you の区別があった。
そして、フランス語やドイツ語と同様に目上には thy ではなく you を使った。

 Thyは所有格。主格はthou。

113 : 名無し象は鼻がウナギだ![] 投稿日:04/05/06 23:55
>>112
1世代前までは、父親に「you」なんて言うと怒られた、という話を聞いたことがあるけど(英国)。

 誰から聞いたのやら。
 少なくとも、資料を見る限り、子から親へ話しかける時は当たり前のようにyouが使われている。

(3)Do you think you'll win a prize with your painting, Dad? (A Bear Called Paddington, Michael Bond 1958年 C: p.82)

ねえ、パパ、パパの絵入賞すると思う? (D: p.131)

(4)My dear father, you are mistaken; Justine is innocent. (Frankenstein, Mary Shelley 1818年 E: p.63)

お父さん、それはちがいますよ、ジュスティヌは無罪だって (F: p.92)

(5)Do you not know me, father? (The Merchant of Venice, William Shakespeare 16世紀末 G: p.62)

ほんとにおいらがわからんのかい、お父つぁん? (G: p.63)

 一方、113の発言を裏づけるソースはない。役割語としての誇張を考慮しても、(3)~(5)のようなyouの用法は自然なものであったと考えるのが妥当だろう。

181 : 180[sage] 投稿日:04/09/28 23:45:39
ところで、以前聞いた話ですが、
英国でも、1930年代あたりまでは、子供が父親に「you」を使うと、「親に向かってyouとは何だ」と叱られたそうです。

この場合、父親に向かってどのような人称形を使っていたのか、どなたかご存知ではありませんか?

 何が「以前聞いた話」だ。ちょっと上で読んだ話だろう。
 それはさておき、答えはyouである。

212 : 名無し象は鼻がウナギだ![sage] 投稿日:2006/06/05(月) 23:03:10
>>210
>「you」みたいな誰にでも仕える普遍性のある人称代名詞があってもよかったと思うが

(たしか、この板の別のスレに書いてあったと思うが、)
半世紀ほど前のイギリスでは、子供が親に向かって「you」を使うと
「親に向かって“you”とは何だ!」としかられることもあったらしいよ。

 別のスレではない。同じスレに書いてある。しかも2回も。

213 : 名無し象は鼻がウナギだ![] 投稿日:2006/06/05(月) 23:09:55
>>212 当時子供は親をなんと呼ぶべきだったのか、知ってたら教えて

 Youである。

214 : 名無し象は鼻がウナギだ![] 投稿日:2006/06/05(月) 23:18:05
>>212
thou をつかえってことか?
ま、フランス語の tu vous の使い分けをみると、親しさが重要で、目上
かどうかはあまり関係ないから、親には、tu が基本だよな。だから、英語
でも、thou だったかもしれない。

 Thouとyouが使いわけられていた時代には、親に対しては、専らyouが使われていた[6]

215 : 212[sage] 投稿日:2006/06/05(月) 23:18:30
>>213
>当時子供は親をなんと呼ぶべきだったのか、

それは書かれてなかったような気がする。俺も知らない。
おそらく、「お父さん」や「お母さん」に相当する言葉じゃないかな。

 何が「ような気がする」だ。答えが書かれていないことは、ほんの三十数レスさかのぼるだけですぐに確認できる。
 書きこむ前にログをちゃんと読め。

用例出典
A: 《燃烧吧!剑 下》 司马辽太郎 计丽屏:译 世纪出版集团 上海人民出版社
B: 「燃えよ剣 下」 司馬遼太郎 新潮文庫
C: A Bear Called Paddington, Michael Bond, Chancellor Press
D: 「くまのパディントン」 マイケル・ボンド 松岡享子:訳 福音館文庫
E: Frankenstein, Mary Shelley, Signet Classics
F: 「フランケンシュタイン」 メアリー・シェリー 山本政喜:訳 角川文庫
G: 「研究社 シェイクスピア選集 3 ヴェニスの商人」 大場建治 研究社

[1] 「普通名詞による二人称指示 : 間接化というストラテジー」 金井勇人
[2] 「Ortegaによる二人称(代)名詞の考察について」 金井勇人
[3] 「二人称指示における指示詞「そちら」についての考察 : 二人称名詞「あなた」との対照を通して」 金井勇人
[4] 「日本国語大辞典 第二版 第一巻」 小学館
[5] 「タビトモ会話 中国」 JTBパブリッシング
[6] 「シェイクスピアの作品における二人称代名詞--『ロミオとジュリエット』と『夏の夜の夢』を中心に」 嶋田亜由美、林由季子、武田暎子