「ピザ」と「ピッツァ」は違う食べ物である?

 昨年8月、漫画家のなぐも。氏のツイートが話題になった。



 「『ピザ』はアメリカ風で『ピッツァ』はイタリア風」という豆知識を絵つきで解説するツイートだ。4万回以上リツイートされたこの発言は、リプライなどと一緒にtogetterにまとめられ、また多くのコメントを集めている。





 だが、そもそも発端の豆知識が間違っている。納得してはいけない。「『ピザ』はアメリカ風で『ピッツァ』はイタリア風」などという事実はない。なぜなら、英語でもpizzaは「ピッツァ」(正確には/pí:tsə/)と発音するからだ。アメリカ風かイタリア風かで呼び名を変える根拠はない。
 まとめられてはいないが、発端のツイートに対しては、次のようなリプライもあった。



 誰から聞いたガセビアだか。もちろん、「ピザ」は英語ベースの発音などではない。十中八九、日本語話者がつづりから適当に想像してでっち上げた発音である。

 ただし、騙されている人ばかりではない。Togetterのコメント欄では、ちゃんと次のように突っこまれている。



 はてなブックマークのコメントでも突っこまれていた。

ピッツァの日本語表記がピザなので、イタリアンピザやアメリカンピザと、日本で生まれた和風ピザは違うとかそういう話かと思ったら、まさかのピッツァとピザが違う食べ物を指してると勘違いしている与太話だった。


tikuwa_oreのコメント 2016/08/05 22:15


 では、なぜこのような与太話が広まるのか? それは、大抵の人は"pizza"という英単語をよく知らないからである。

 大抵の人は、「ピザ」という食べ物は知っている。「ピザ」は"pizza"とつづることも知っている。だが、英語ではどう発音するかは知らないのだ。

 これは別段不思議なことではない。なぜなら、"pizza"などという語は、普通、学校では習わないからだ。

 例えば、「新英和中辞典 第6版」(研究社 1994年)では、学習基本語7000語には重要度に応じた印がつけられているが、"pizza"の項目には何の印もつけられていない。また、ウェブリオでは難関大入試レベルの単語に分類されている。ここからもわかるように、"pizza"というのは上級者向けの英単語なのだ。知らない人が多いのも無理はない。

 なお、英語にもイタリア語にも、「ピザ」と発音する語は存在する。Pisaである。これはイタリア中部の町の名前であり、日本語では「ピサ」という。