2月4日の記事のために横書き漫画について調べていたら、興味深い記事を見つけた。

 流行ってますよ!?『漫画横書き議論』??

 上の記事の内容を要約すると以下のようになる。

 縦書きの漫画は左向きのキャラクターが多い。また、右利きの人は右向きの顔より左向きの顔の方が描きやすい。したがって、右利きの人にとっては横書き漫画より縦書き漫画の方が描きやすい。

 本当だろうか? 横書き漫画と縦書き漫画でキャラクターの顔の向きの傾向に違いがあるか、実際に調べてみた。
 検証に用いた漫画は以下の4作品である。

横書き
「Girlyパニック」 あんべよう ベネッセコーポレーション
「まんがで攻略 つるかめ算なんてこわくない!」 監修:笠原乾吉 構成:藤野秋子 まんが:矢部道子 実業之日本社

縦書き
「聖☆おにいさん 1」 中村光 講談社
「科学のせかい」 監修:青木國夫 指導:杉田信 漫画:井上大助 集英社

 それぞれの作品の冒頭10ページについて、キャラクターの向きを調べた。なお、キャラクターの向きの判断基準としては、主に鼻の方向を用いた。つまり、鼻が右を向いている人物は「右向き」、左を向いている人物は「左向き」としてカウントしたのである。一見正面を向いているようであっても、鼻の影が左側だけに描かれていたら、それは左向きに含めた。鼻の描かれていないものについては適宜判断した。また、背景のモブキャラは無視した。

 結果は以下の通りである。

 「Girlyパニック」第1話 … 「チャレンジキッズ」(1997年9月号) p147-156
 右:41
 左:63
 正面:18
 真後ろ:なし

 「まんがで攻略 つるかめ算なんてこわくない!」 p7-16
 右:30
 左:39
 正面:2
 真後ろ:なし

 「聖☆おにいさん 1」 p3-6, 9-14
 右:38
 左:44
 正面:なし
 真後ろ:2

 「科学のせかい」 p7-16
 右:30
 左:39
 正面:2
 真後ろ:なし

 横書き作品では、右向きが約37% (71/193)、左向きが約53% (102/193)であった。一方、縦書き作品では、右向きが約47% (64/137)、左向きが約52% (71/137)であった。
 縦書き・横書き問わず、左向きが右向きを上回っていた。しかも、その差は縦書きでは約5%であったのに対し、横書きでは約16%。つまり、縦書き漫画では右向きと左向きの数が拮抗していたのに対して、横書き漫画では左向きが右向きを大きく上回っていたということだ。左向きが多いというのは、縦書き漫画の特性でも何でもないのである。

 となると、「右利きの人にとっては縦書き漫画の方が描きやすい」という主張の妥当性も疑わしくなってくる。縦書きであろうと横書きであろうと、右利きの人が描きやすいという左向きの顔が多いことに変わりはないからだ。
 また、「左ききのたみやさん。」(たみやともか 宝島社)には、「漫画は右から左にコマが進むので、左利きだと描きやすい。」と書かれている。宇院澤まつげ氏とは正反対の意見だ。どちらが正しいのか、あるいはどちらも間違っているのかは知らない。