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つまらないは正義

真尋さんは2年生

 昨日、「八坂 真尋 学年」なるフレーズで検索してきた人がいた。
 こんなもの、「這いよれ! ニャル子さん」のアニメ公式サイトを見ればすぐわかるだろうと思ったら、公式サイトの登場人物一覧には「高校生」としか書かれていなかった。ビジュアルファンブックも同様だ。

 答えは2年生である。原作1巻31ページに書いてある。

和文の文字数と英文の語数の関係 その2

 3月24日の記事の続きである。

 前回、6つのサンプルについて、和文の文字数と英文の語数の関係を調べたが、今回は、さらに4つのサンプルについて調べた。なお、前回同様、文字数を数える際、句読点などは無視した。また、注釈にある行番号は、タイトルなどを無視し、本文の行数だけを数えたものである。

五稜郭タワーのパンフレットの一節
日本語:184文字
英語:100語

「moetan II」
日本語:192文字[1]
英語:128語[2]

「日本――その姿と心――」
日本語:198文字[3]
英語:97語[4]

「ハリー・ポッターと賢者の石」
日本語:193文字[5]
英語:67語[6]

 英語1語当たりの日本語の文字数の値は、上からそれぞれ1.84、1.5、2.04、2.88。以前調べた6つの結果と合わせると、平均値は約2.2となる。前回の結果と比べて、さして大差はない。
 今回の結果を元に計算すると、英語の母語話者の平均読解速度300語/分は、和文では約660文字に相当することになる。日本語の母語話者の平均読解速度は600文字/分。日本語の方が英語より速く読めるというのは間違いだということがよくわかる。


[1] 「moetan II」上 三才ブックス 附属小冊子p1, l1-7.
[2] 同上 本体p13.
[3] 「日本――その姿と心――」第3版 (株)日鉄ヒューマンデベロプメント 監修:新日本製鐵株式会社能力開発室 学生社 p30, l1-11.
[4] 同上 p31, l1-11.
[5] 「ハリー・ポッターと賢者の石」 J. K. ローリング 訳:松岡佑子 静山社 p7, l6-10.
[6] Harry Potter and the Philosopher's Stone J. K. Rowling, Bloomsbury Publishing Plc, p7, l26 - p8, l1.


まとめ
2013年シリーズ記事まとめ

アイヌ語地名考

 Googleで「アイヌ語」と検索すると、地名考のページが散見される。本屋や図書館に行けば、アイヌ語地名に関する本も見つかる。言語そのものに関する本より目立つくらいだ。実際、現在日本で使われているアイヌ語の単語の大半は地名だし、雑学としても楽しいから、地名考ばかりが取り上げられるのも理解できなくはない。

 北海道の地名の由来やアイヌ語の原名には、詳しく分かっているものも多い。だから、権威のある地名考の本――山田秀三の「北海道の地名」(草風館)など――を参考にするのであれば、地名解説もしっかりしたものとなりうる。
 だが、素人の独自解釈はひどい。特に、関東以南の地名をアイヌ語で解説したものなどには、あまりにも滅茶苦茶で呆れ果てるようなものも少なくない。
 確かに、専門家で関東以南のアイヌ語地名を研究している人もいる。しかしながら、例えば山田秀三も関東地方のアイヌ語地名の研究を行っていたが、はっきりとした結論は出せなかった[1]。このように、現段階では、関東以南のアイヌ語地名はまだ明らかになっていないのだ[2]。なお、「えびす」はアイヌ語由来の可能性のある地名だが、命名したのは和人なので、普通はアイヌ語地名扱いしない。

 関東以南の地名をアイヌ語で解釈した例としては、「『富士』の語源はアイヌ語で『火』を意味する『フチ』」という説が有名だ。「日本国語大辞典」にも載っている説だが、これは間違いである。火の神を「フチカムイ」と呼ぶことから、「フチ=火」と解釈したのだろうが、正しくない。huciは「火」ではなく、「おばあさん」という意味だ。hucikamuyが火の神という意味になるのは、火の神が老婆の姿をしているからである。

 また、「アイヌ語地名ファンブック」(本田貢 彩流社)では、1965年に出た「日本アイヌ語地名考」(山本直文)という本が紹介されている。「日本アイヌ語地名考」というのは日本全国の地名をアイヌ語で解釈した本なのだが、あまりにも滅茶苦茶、捧腹絶倒の解釈が目白押しなのだ。例えば、「アイヌ語地名ファンブック」には、次のような例が引用されている。

 静岡 si-tu-oika 大きな浦越し
 岐阜 ki-u 葭葦の広野
 金比羅 kot-pira 岩石の崖

 岐阜は戦国時代、静岡に至っては明治時代にできた地名だ。当たり前のことだが、戦国時代の岐阜や明治時代の静岡では、アイヌ語など使われていなかった。また、金比羅はサンスクリット語だ。
 アイヌ語の説明もいい加減だ。例えば、kotは「くぼみ」という意味であり、岩石のことではない。tuに「浦」という意味はないし、uという名詞もない[3]。上に挙げたもの以外では、「島」とつく地名は「suma 島」と解釈されているものが多い。だが、これも間違いだ。sumaは島ではなく石という意味だ。
 前述の通り、「日本アイヌ語地名考」は1965年の本だ。だから、アイヌ語の解釈が杜撰なのは仕方ない。何せ、当時はろくに辞書もなかった。「アイヌ語方言辞典」ですら出たばかりだったのだ。だが、静岡や岐阜、金比羅をアイヌ語由来にする点についてはさすがに擁護できない。「セントレア」や「みなとみらい」をアイヌ語で解釈するのと同レベルの荒唐無稽ぶりだ[4]

 ロマンや意外性の追求、反中央志向、民族主義……。関東以南の地名を根拠もなくアイヌ語で解釈する動機としては、いろいろなものが考えられる。だが、背後にどんな考えがあっても、できるのは低レベルな語呂合わせばかりだ。正しくない上に、ギャグとしても面白くない。

 上で、北海道の地名の由来には明らかになっているものも多いと書いたが、それでも誤った解釈は存在する。例えば、爾志郡という地名は明治の頭にできたもので、その語源は和語の「西」なのだが、永田方正の「北海道蝦夷語地名解」では、アイヌ語のヌーウシ(豊漁場)に由来すると述べられている[5]。なお、永田地名解が発行されたのは1891年。爾志という地名ができて、まだ二十数年しか経っていない時期のことだ。


[1] 「アイヌ語地名の輪郭」 山田秀三 草風館
[2] アイヌ語地名とインチキアイヌ語地名説について #gengo
[3] 「アイヌ語千歳方言辞典」(中川裕 草風館)、「アイヌ語絵入り辞典」(知里高央・横山孝雄 蝸牛社)、「萱野茂のアイヌ語辞典」(萱野茂 三省堂)、「知里真志保著作集 3」(知里真志保 平凡社)の4冊を確認。
[4] 1965年にはそんな地名などまだ存在しないが。
[5] 「北海道の地名」 山田秀三 草風館

アイヌ語の話者数

 「アイヌ語 話者」という検索語で来る人が多いので、今回はアイヌ語の話者数について述べたいと思う。

 ユネスコが「アイヌ語の話者は15人」と発表したのは2009年のこと。そのニュースを聞いた時、アイヌ語研究者の間に驚きが走ったという。そんなに多いはずがない、15人というのは一体誰と誰のことなのかと。アイヌ語の話者をひとりひとり数え上げても、到底15人には達しないからだ。ユネスコが言語調査に用いたのは、アレクサンダー=ヴォービンという研究者が提出した古いデータであった。そのため、実際よりも大きい数字を発表することとなってしまったのだ[1]
 なお、ウィキペディアでは、1991年の調査結果と述べた上で、この15人という数字を挙げている。一方、エスノローグでは、2007年の資料に基づき、10人という数字を挙げている。
 2011年には、中本ムツ子氏が亡くなっている。エスノローグの記述を信じるならば、現在、アイヌ語の話者は9人以下ということになる。ただし、中本氏はアイヌ語の母語話者ではなく、第二言語としてアイヌ語を身につけたそうだが。

 さて、「アイヌ語 話者」で検索すると、このブログと並んで上位に表示される記事がある。これだ。当該記事には、以下のような記述がある。

ロシアでも話されるとエスノローグはいっているが、こちらの未来も芳しくなさそうだ。サハリン方言は話者がもういない。1994年に最後の話者が死んだ。タライカ方言については情報を見つけることが出来なかった。

日本人が色丹島に強制移住させた千島(クリル)アイヌは環境の変化に堪ええず、死滅したといわれている(漁労狩猟民だった彼らに農耕を強い、環境の変化もあって病没があいついだという)。だから千島(クリル)方言も、あるいはとうに失われているのかもしれない。

消え行くアイヌ語

 「ニューエクスプレス・スペシャル 日本語の隣人たちII」(中川裕:監修 小野智香子:編 白水社)や「アイヌ語方言辞典」(服部四郎:編 岩波書店)などで取り上げられている樺太方言は、西海岸、ライチシカの言葉である。対して、樺太東海岸、アイヌ語圏の最北で使われるタライカ方言は、ライチシカ方言よりも古い形を残している、貴重な方言であるらしい[2]。タライカ方言の話者としては、長嵐イソ(1882 - 1964)という人物がいた[2]
 色丹島に移住させられても、千島アイヌが死に絶えたというわけではない。色丹島に移住した千島アイヌの末裔は、第2次大戦後、北海道に移住した。だが、色丹への移住後、人口が激減したのは確かで、その言語も明治時代のうちにほとんど失われたという。昭和三十年代、村崎恭子氏が言語調査のために北海道に住む千島アイヌを訪ねたが、すでに千島方言を知る人はいなくなっていた[3]
 千島方言の資料は、1903年に発行された鳥居竜蔵の「千島アイヌ」がほぼすべてらしい。「アイヌ語方言辞典」の千島方言に関する記述も、鳥居竜蔵の著書に基づいている[4]

 さて、アイヌ語の母語話者はもはやほとんどいない。今後増えることもまずない。それは当然で、専らアイヌ語を使う社会が存在しない以上、生まれた子供がアイヌ語を母語とすることなどありえないからだ。この状況に対し、中川裕氏は、「今となっては母語話者を問題にすること自体不要、学習者が増えることが重要。」と述べている[1]。これはその通りだろう。例えば、日本語でも母語としての古文は死語だ。だが、失われた言語というわけでもない。祝詞や和歌では現役だ。古典を原文で読む人もいる。同様に、第二言語としてアイヌ語を学ぶ人、使う人がいる限り、母語としてのアイヌ語は死んでも、言語自体が失われることはないのだ。

このままにしておいてはいけない、と思うのだが、なにか圧倒的なものに咽喉がふさがるようにして、先へ思考が進めない。

消え行くアイヌ語

 本当にこのままにしておいてはいけないと思うのならば、ご自身がアイヌ語を学んでみてはいかがだろうか。繰り返すが、アイヌであろうと和人であろうと、アイヌ語を学ぶ人、アイヌ語の知識のある人、使える人がいる限り、アイヌ語が消え去ることはない。幸い、アイヌ語の学習環境は整っている。詳細はこちらを参照されたし。


[1] 「アイヌ語のむこうに広がる世界」 中川裕 編集グループSURE
[2] 「樺太アイヌ語入門会話」 村崎恭子 緑鯨社
[3] 「オホーツク街道」 司馬遼太郎 朝日文庫
[4] 「アイヌ語方言辞典」 編:服部四郎 岩波書店

ライトノベルの主人公の学年 その2

 2月17日のエントリーの続きである。

 前回ライトノベル40作の主人公の学年を調べてみたが、今回はさらに12作について調べてみた。以下に結果を示す。


タイトル著者レーベル主人公学年
名門校の女子生徒会長がアブドゥル=アルハザードのネクロノミコンを読んだら早矢塚かつや一迅社文庫土方敏文高1
友達からお願いします。清水マリコMF文庫J山科楓高1
ツイてない!三門鉄狼MF文庫J奏真琴高2
地球の切り札鷹見一幸角川スニーカー文庫最上健吾中3
ヴァルキリーワークス逢空万太GA文庫大神理樹高1
サディスティック・エージェント中里融司GA文庫桐生真琴高2
ウェディング・ドレスに紅いバラ田中芳樹集英社スーパーダッシュ文庫花村雅香大1
恋はいつも切なくて唯川恵集英社文庫コバルトシリーズ石川有加高2
うちのメイドは不定形森瀬繚
静川龍宗
スマッシュ文庫新井沢トオル高1
桜色の春をこえて直井章電撃文庫真世杏花高1
楠木統十郎の災難な日々南井大介電撃文庫楠木統十郎高3
わたしと男子と思春期妄想の彼女たちやのゆいファミ通文庫峰倉あすみ中2


 前回の結果と足し合わせると、学年ごとの主人公の人数は以下の通りになる。

 小5:2人
 小6:なし
 中1:2人
 中2:4人
 中3:3人
 高1:20人
 高2:12人
 高3:3人
 大1:4人
 大2:1人
 大3:1人

 簡単にするとこうなる。

 小学生:2人
 中学生:9人
 高校生:35人
 大学生:6人

 12作のデータが加わったとはいえ、大まかな傾向に変化はない。相変わらず大半が高校生だ。特に1年生が多い。別に狙って集めたわけではないのだが、結果的には高校1年生が主人公の作品が4割近くを占めている。


続き
ライトノベルの主人公の学年 その3

まとめ
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